ファンファーレと熱狂

これでも喋り足りない

ネリネの花を

普段から嘘をつき過ぎて、自分でも本音が分からなくなった。

 

自分の中の悪魔に負けないでください。なんて先生は言っていたけれど、自分の中で悪魔だと思っているそれが本当に悪魔なのか、正義だと思っているそれが本当に正義なのか、区別がつかなくなっている時はどうすればいいんだろうか。

 

心の中に大きな空洞が空いたみたいで、ご飯を食べても埋まらない。空腹では無いみたいだ。

 

何をしたら良いのか、何をしたいのか、そもそも何がしたかったのかも分からない。

 

ここ最近の夢は、具体性のないものだった。多分だけど、恥ずかしくて言えなかったんだと思う。

 

自分のラジオをやりたい。映画に出たい。コントをやりたい。バラエティに出たい。舞台に出たい。アイドルと仕事がしたい。

 

小学生が考えるような現実味のない夢が、19歳の僕に一周回って突き刺さってきた時、それを口にすることが恥ずかしくなるのが僕だ。みんなもそうかもしれない。

 

要は人気者になりたい、って話だ。

 

なんでそうなったんだろうな。

 

多分簡単な話、身近にいる人たちを笑顔にするのが好きだったからだろう。それは今も変わらないはずだ。

 

なのに、1番身近に居て欲しかったはずの人を自ら遠ざけてしまった。

 

勝手に将来すら想像した。そんな人に「一生会わない」なんて言ってしまった。

 

カッコつけたつもりだけど、声震えていただろうか。最後まで強がった僕で良かったのだろうか。

 

何ヶ月かすれば、いや何日かすればまた彼女は笑顔で過ごしてくれるだろうし、僕無しで友達とも上手くやってくれるだろう。

 

それを望んでいるから遠ざけたはずだ。

 

でも今は心から、彼女に「好き」だと言って欲しかった自分がいる。

 

多分彼女は本気で怒ってしまっただろうし、僕のことを嫌いになったかもしれない。

 

そんな彼女は最後に僕へ「またね」と言った。

 

僕は「じゃあね」と返した。

 

彼女の幸せを心から願い、また会える日を楽しみにしている。